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言いたいことも言えないこんな世の中じゃ。

ポイズン。

連休中に実家に行ってたんだけど、母親にKindleについて尋ねてみたらまったく知らなかった。彼女は文庫と新書しか買わないと常々公言してるので、あんまり興味はなかった様子。ただ、たまたま祖母の家で夕食中に、見事兄貴にイタイところを突かれてしまう。いや、おっしゃることはまったくごもっともなのですが、痛すぎるぜ、アニキ。。。

よって、いつも通りメモ的に四方山話。

ということで。

連休明けから電子書籍についてのエントリを書こうと思ってちょこちょこと書き溜めていたのだけれど、なんだか周りの動きが早すぎてあれやこれやと次のネタが出てくるのでなかなか上手く書けない。やっぱりこういうことは書こうと思ったときに全部書ききってしまわないといけないのよね。

僕としてはKindleよりもiPadの方が衝撃的で、ワンセグ機能とかも入っちゃえばもうそれでいくつもの家電製品をカバーできちゃう ツールになると思う。かといって、普及するかどうかというとまだそこまでとは思えない。WEB周りであればまだPCの方が優位だろうし、2台目としては使えるかもしれないけど1台目として買う機器ではない気がする。まぁ、実際に使ったことがないからわかんないんだけどね。料金表を見たらさすがにちょっとお値段高いのよ。だったらiPhoneの次のモデルがほしいかなぁ。

総務大臣が教科書の電子化を謳ったりして、最近ちょこちょこと話題になっているように見える電子書籍。諸々の理由で日本ではなかなか使えるものが出てきていなかった。先日今までの日本の試みみたいな話を聴いていても、まったく知らなかった機器が2つくらいあったし。アメリカではKindleがかなりの売上を上げているにもかかわらずなかなかピンと来なかったのも、日本の中に電子書籍が活字媒体の再生メディアとして普及するだろう肌感覚が以前のイメージもあってなかなかつかめないでいたからなんじゃなかろうか。

とはいえ、今やメーカー、流通、小売のどの人でも、程度はばらばらとはいえ「電子書籍化が進む」点においてはおそらく共通の認識であろう。そのため、あちこちで危機が叫ばれ、あちこちでやれセミナーだのシンポジウムだのが開かれている。僕も今月末にひとつ参加を予定していたりする。

編集サイドとしてはまずデータ管理とか権利関係でクリアしなきゃいけない問題が多いようだけど(この辺は専門外だからよくわからない)、よくよく考えれば営業サイドとしても対岸の火事ではいられないことが多い。この業界であんまり議論が表立って出てこないということは、おそらくどこの企業も虎視眈々と見えないところで準備を進めているんだろう。「電子化した書籍をどう売るか」という問題だ。

プラットフォームにソフトを乗せること自体に大きな問題はないだろう。ISBNコードから各商品データを紐付けてしまえばいいだけだ。重要なのはその後の話。アンビエント化とかフラット化とかコンテキストとかキーワードになるような言葉は出てき始めたが、あくまでもメーカー側の一個人としてはそんな話で済まされない泥臭いところに問題が埋まっている気がしてならない。

つまり、フラット化のその後、である。はっきりいえることは、書籍だけでなく活字全体のパッケージがデジタル化してしまうと、そのソフト量は今より格段に増加する。出版行為に対するハードルは下がるし、雑誌や新聞は記事単位で再パッケージされるだろう。そうなれば、今よりもひとつのパッケージがその海の中に埋没してしまうことになる。

単純に考えると、自社の商品とそれを必要とする人をつなげていく作業は、今よりはるかに困難となる。にもかかわらず、「どのように電子化された活字商品を販売するか」については、大掛かりなキャンペーンの例を除いて、表立ってノウハウが語られてはいない。まぁ、表立って語る必要もないんだけど、これは大きな問題なんじゃないかなぁと個人的には思うわけですよ。

権利関係もクリアできました。技術的な問題もクリアしました。電子化のしくみを作り上げてプラットフォーム上にアップロードしました。でも、売れません。

あぁ、目に見えるかのようだ。。。

これは最近たまに耳にする、有名作家とベストセラー・メディア露出商品しか売れてないんじゃないか問題に通ずるところがある。ようは、今でもわからないのに、フラット化して増加した商品群の中から自分が求めているデータ(商品)を探すことなんてできないんじゃないか、ということだ。

佐々木俊尚氏の著書『電子書籍の衝撃』にはこの話も当然出ている。今の偏りをより加速させる結果に終わってしまうのではないかという懸念と、それを打破する可能性のひとつはソーシャルメディアでありミニマル化された情報圏域の中でコンテキストとともに消費されていく形になる、と。

果たしてソーシャルメディア上で書籍がそこまで広がりを持ってとらえられるものなのだろうか。電子書籍のシェア率が上がるにはおそらく10年は必要だろうから現状をそのまま当てはめることはできないにしろ、今のソーシャルメディアの状況を考えるとそれほど有効ではないように思う。そもそも、ソーシャルメディア内での商品展開を行うのであればそれ以前にAdvocacy型のマーケティングが必要になるんだけどね。

入社以来、僕がメインに扱っているビジネス実務書には目的買いが多いと言われてきた。知りたいことについての棚前に行きさえすれば総論から各論まで各種様々な商品を手に取りながら選択することができる。一方、今のECでも同様に、おそらく電子書籍購入サイトでは検索機能やジャンルでのドリルダウン機能を利用することになるのだろうが、果たしてどこまでニーズに対してダイレクトに応えることができるのだろうか。例えば、検索結果として表示された商品が中級レベルなのか、ハイクラスなのか。どの本とどの本が同レベルの図書なのか。これらの機能だけでは判断することができない。

よく言われることだが、そういった本同士の関連性やレベル分け、サジェスト機能が現状のプラットフォームではできていない。これらのことをソーシャルメディア依存でカバーできるかと言えば、それはとても困難だと言わざるを得ない。検索結果で並ぶ序列は各検索キーワードの優位性でしかないのだから。棚の並びと棚前の商品陳列を再現できているECはほぼないと言っていい。

僕が今の仕事をして出会った、ある言葉がある。

「ECでのお買い物も、エンターテイメントじゃなきゃダメ」

実は、この言葉を聴いてかなりの衝撃を受けた。それまでの僕は、「ほしいものを最短距離で手に入れる」ことが最重要だと考えていた。ニーズから購入までのドロップをいかに減らすのか、そのためのデータ拡充であり在庫メンテナンスである、と。昨年のTIBFで某ECサイトの方からこの言葉を聴くまでは、結構極端な最短距離原理主義者であった。

最短距離。それだけで、果たしていいんだろうか。

たとえ欲しいものが仕事に関する商品であったとしても、誰しもお買い物をするときには相応の楽しみ方があってもいいんじゃないか。最短距離でありながら、クリック無しでワンクッションのポイントを挟む方法は不可能なんだろうか。プラットフォーム側からではなく、メーカー側からそれを考えてはいけないんだろうか。何でもかんでも入れろってわけじゃなくて、もちろんちゃんと役に立って、必要に応じてって意味だけど。

最短距離を考えるとプラットフォームに合わせてプロモーションやSEO対策をしていくなんてありがちな答えしか出てこないんだけど、果たしてそれしかできないんだろうかと何度も問いかけてみたくなる。メーカー側がどうにかできる範囲はたしかに少ないかもしれないけれど、何もできないわけじゃない。効果測定はとても難しいことだけど、類推から結果を得ることはできる。ソーシャルな展開でのモデルケースの応用性だってそれほど高くないんだから、なんてことを言い訳に。

兄には「認識が甘い」と痛いところを突かれてしまって無残にも個別具体論で逃げたんだけどね。まあ、同じところでぐるぐる回っていても仕様がないので、前には進みたいんですよ。だから、ちょっと突っ込んだフリをして全然まとまってない話だけどメモ的に書いてみた。

こうやって書いてみると、やっぱり活字のデジタル化って大変だよなぁ。

と、間の抜けた感想しか浮かばない自分に改めて驚いてみる。

さぁて、モナコGPがはじまっちゃうからお風呂に入ってこよーっと。

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コメント

iPadはざっくり言うと「でかいiPhone」なので、基本的にはiTunesが必要です。なのでご指摘の通り、一台目のパソコンとしては使えません。
TV見るのも、たぶんワンセグチューナーがいるかなあ。

投稿: うす | 2010年5月16日 (日) 23時33分

>うす

コメントありがとう。

なるほど。たしかにiTunesからDLするし1台目は無理やね。ワンセグはチューナー付けな無理やけど、そんな機能ができればって話で。

そんでも、iPadがより進化するなら2台目にもうPCはいらんよなぁ。

投稿: くま | 2010年5月17日 (月) 00時05分

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